オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「――梨聖」
 
寝ぼけ眼で、髪なんか寝癖で逆立っている想太が出てきた。
 
童顔の想太。
 
寝起きの顔だと、ますます幼稚に見える。

「久しぶり。元気してた?」
 
これが恋人の会話かと、一瞬思った。
 
恋人同士なのに、お互いの近況を知らない。
 
もう、別れたカップルのやりとりのようだ。

「元気だよ。どうした? 急に押しかけてきて」
 
想太は目をこすりながら言う。
 
まだ眠そうだ。

「また、夜勤明け?」

「ああ、5時に帰ってきた」

「ごめんね。寝てるとこ」

「いいよ。ま、上がって」
 
大きくドアを開いて、想太は私を招き入れてくれる。