オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

やがて店を出て、それからしばらくドライブして。

家に着く頃には夜のてっぺん近くまでの時間になっていた。

私の家の前で車を止めてくれた。

名残おしい――……。

けれど、私はその気持ちをふり切って、

「今日はありがとう。楽しかったです」

と、さらっと言うとサッと助手席から降りた。

「梨聖ちゃん、おやすみ」

「おやすみなさい、渡海さん」

そう言って私は車のドアを閉めた。

なんだか不思議な一日だったな。

とっても楽しい一日だったな。

女トモダチとレンタカーで出かけたのに、

帰りは出会ったばかりの男の人車で送ってもらった、だなんて。

私は去りゆく車を見えなくなるまで見送り、また、いつかキャンパス内で会えるかな。

と、心の片隅……いや、真ん中で考えていた。

渡海さんのこと、好きだな、私。