オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「あ、あの……」

何て言ったらいいのか、言葉に迷ってしまった。

渡海さんも帆乃香に気づいたらしく、どうも、なんてお辞儀をした。

「彼氏? 想太くんとついに別れたか」

「彼氏じゃない彼氏じゃない」

慌てて必死に否定すると、その私のうろたえ方に帆乃香も渡海さんもあははと笑
った。

「ま、仲良くやってなよ。私、行くね」

「梨聖ちゃんは行かなくていいの?」

と、渡海さんは聞いてくる。

「――」

私は黙って彼を見た。

彼は真顔ながらにも、私がここにいるといった理由を察して、サッと顔を赤らめた。

私もなぜか顔が赤くなってしまい、2人して頭から湯気を出してうつむいて座っていた。