オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「起こしちゃった? ゴメン」

「――あれぇ、梨聖、ちゃん?」

声で解ったのだろうか。

目の悪い夢くんは、目をこらして私を見ようとした。

「久しぶりだね」

「ん。メガネメガネっと。梨聖ちゃんの顔、見たい」

久々に会っても、ドッキンとする事を言ってくる。

変わらないね。そう、口がうまいところとか。

一緒にいてほっと安心できるというか、心が解き放たれる感じとか。

私はベッドに横づけされていたテーブルから、彼のメガネをとって渡した。

夢くんは目をしぱしぱとまたたいて、なんとか上半身を起こして私に向き直った。

「ああ、梨聖ちゃんだ」

――ああ、夢くんだ。

私も同時に思った。

私たちは、しばし、ゆらゆらとお日様の光に揺られながら、黙ったまま見つめ合っていた。