オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

私たち、一緒に住んでいるのに、キスもそれ以上のこともまだだったのだ。
 
恋人同士なのに、そういうことがないのって、淋しいよね。
 
夢くんはそういうことに興味がないのかな。
 
なんて、ずっと思っていたこと。
 
潮騒の音が聞こえる。
 
夢くんは黙ったままだ。
 
ふと私は、目を開けた。
 
彼の顔をじっと見る。
 
すると、彼は真顔で私に顔を近づけてきた。
 
胸のドキドキの音が、夢くんにも聞こえるんじゃないかってほどだった。
 
私は再び、目を閉じる。
 
やがて、あたたかいものが、頬に触れた。
 
ほっぺにちゅーされていた。
 
唇じゃなくて、ほっぺか……。
 
それでも私は充分だった。
 
肌と唇の触れ合い。