オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「へえ、すご~い。ご馳走だね」

「だって、今日は特別な日だろ」
 
夢くんが、にこっと笑う。

「え……」

「梨聖ちゃんの、誕生日、でしょ」

「知ってたの?」

「うん」

「私、言ったことあるっけ」

「うん。前に聞いたじゃん」

「そうだっけ……」
 
私は首を捻る。

「ああヤバイ、あさりが焦げる」
 
じゅわ~と音がして、煙があがった。

「大丈夫だ。よし、できた」
 
夢くんはおたまで鍋のふちをぽん、と叩いた。

「私、お皿出すね」