オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

両親も深々とお辞儀する。

そこで、お姉ちゃんが家から出てきて、私の許へと来た。

「梨聖。これ、お小遣い」

そう言って、ポチ袋を渡してくれた。

「ありがとう」

お兄ちゃんは、家から出て来なかった。

別に、永遠の別れではないのだから、淋しい思いをすることはないのだけれど。

顔を見たら、ちょっぴりセンチメンタルになってしまうから、出てこなくてもよかった。

「じゃあ、行くね」

「健康管理はしっかりするのよ」

「うん」

お母さんはいつも通りで、笑ってくれていた。

お父さんも、表情はにこやかだ。

「行こうか、梨聖ちゃん」

「うん」