オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「こんにちは」

夢くんは私の両親に臆することはない。

普通、彼女の親って怖いものだと思うんだけど。

夢くんは、いつもにこやかだ。

それが、彼の魅力でもある。

「荷物、これ?」

玄関先に置かれたダンボールとバックを見て、夢くんが尋ねる。

「うん」

「じゃあ、運ぼうか」

家の前に停められた、彼の車。夢くんはトランクを開けて、ダンボールを入れた。

お母さんが手伝ってくれて、バックもトランクに収まった。

さて、出発の門出だ。

「それじゃあ、娘さんを大切にお預かりします」

門の前で、お母さんとお父さんに一礼をする夢くん。

「ああ、宜しく頼むぞ」

「頼みます」