オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

しばらく歩くと、鈴は“よし”と声を出した。
 
そして、居酒屋へと入っていく。

「何、居酒屋?」

「そう」
 
いらっしゃいませ、と出迎えられると、スタッフのひとがやってきた。

「片岡で予約してるんですけど」

「片岡様ですね。ご案内します」
 
どこからか湧き上がる笑い声、タバコの匂い、ガヤガヤとしたひとの声。
 
居酒屋は賑わっていた。
 
お酒、飲みたいな。
 
今日は牛丼じゃなくて、夢くんにお酒につきあってもらおうかな、と思っていたところだった。

「ごめーん、遅れた」
 
鈴は靴を脱ぎ、座卓の個室へと入っていった。
 
仕方なく、私も続く。

「幹事、遅いぞ~。もう飲み物頼んじゃったよ」