オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

ちょっと疑念を抱き始めた。

「お召し物と合わせて、ピンクがいいですかね」
 
そう言って、店の棚からアイシャドーとチークと口紅まで持ってきてくれた。
 
また、丁寧に私をデコレーションしてくれる。

「あら、素敵。可愛らしいですね」

「おー、梨聖、いいじゃん」
 
鈴が手を叩く。

「サンプルはこちらです。先ほどおつけした化粧水と乳液です。どうぞお試しになってくださいね」
 
水色の長方形をした小袋をいくつか、半透明の巾着袋に入れてくれる。

「ありがとうございます」
 
それは、鈴が手を出してちゃっかり鞄にしまいこんだ。 

「じゃ、ども。ありがとうございました。また今度、買いに来ますから」
 
鈴が片手をあげる。 

「お待ちしております」
 
最後までにこやかに店員さんは見送ってくれた。