オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「あ、私はもう大丈夫。ありがとう」

「え~、もっとお話してたかったのに~」
 
鈴が彼を引きとめようとする。

「ちょっと、鈴」
 
帆乃香がそれを制する。

「レモンティ、ご馳走様でしたあ」
 
夢くんは笑顔で立ち去った。
 
その途端、鈴はソファの背もたれにどかっと身体を預ける。

「は~、素敵なひと」
 
まだ言うのか、この子は……私は苦笑した。

「ひと前でお姫様抱っこできるひとなんて、そうそういないよね。は~、素敵」

「そいつはどうも」
 
私はつっけんどんに相槌をうつ。

「鈴、やめなよ。ひとの彼氏に手ぇ出すの。あんた、トモヤくんとやらはどうしたのよ」

「智哉は、ガキっぽすぎて。まあ、嫌いじゃないんだけど」