オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

「いいのよ」
 
鈴がこちらへ歩いてきて、夢くんの真ん前に腰をおろした。
 
帆乃香も鈴に続く。

「助かりました。女だけじゃ、梨聖を持ち上げることもできなかったので」
 
と、鈴が夢くんに話しかける。

「いえいえ、たまたま通りかかってよかった」
 
たまたまというか、必然のように思う。
 
私はいつも、夢くんに守られている。

「私、片岡鈴っていいます。こっちは帆乃香。あの、お名前伺ってもいいですか?」
 
前のめりに座る鈴。
 
夢くんは笑顔を見せる。

「渡海夢大です」

「素敵なお名前ですね。漢字はどう書くの?」

「渡る海に、夢が大きい」

「素敵」
 
おやおやおや……。