オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~

ラウンジには誰もいなかった。
 
テレビさえ、ついていなかった。
 
静かな場所を選んで、彼は私を連れてきたんだなと思って、改めてその優しさに感激した。
 
暖房が程よくきいていて、心地よい。
 
私はソファの肘掛の部分にあたまを載せ、目を瞑った。
 
帆乃香たちの前で、抱っこされるなんて、こりゃあとから冷やかされるな――。
 
だけど、冷やかされたっていい。私たちは無敵。
 
ややあって、夢くんがコンビニ袋を提げて帰ってきた。
 
小走りにではなく、ゆっくりと歩いてやってきた。
 
ぜんそくの発作が起きないように、身体を庇ってのことかとちらっと思ったけれど、手にはカップスープがあった。
 
それを零さない為なのか。

「はい、ちゃんと食べな。待たせたね」
 
膝小僧の高さの、低いテーブルに彼は買ってきたものを広げる。
 
パスタ入りの、クリームスープ。