許嫁として来ました

そい言い放った少女に対する竜也の反応は

「ピシャ」

扉を閉めるだった

「ふえぇ、なんで閉めちゃうんですかー。」

「当たり前だろ。いきなり許嫁なんてくるか。漫画かよ!」

扉の向こうで大きな声で抗議する少女に竜也は冷たく言い放つ

一方で少女は隣の幼児に助けを求める

「ふぇぇ、閉められちゃいましたよー。どうしましょう神様ー」

「閉められたのは見ていたからわかるのじゃが、さてどうしたものかの。我らには行く宛も帰る場所もここしかないのに」

「ここを右に出て真っ直ぐ行けば国家権力が助けてくれるかもしれないぞ。それとも電話で呼ぶか?」

年不相応の喋りをするしかも神と呼ばれた幼児の言葉にも冷たく返す

祖父が死に姉が行方不明になってから自分でも冷たくなったと竜也は感じていた

だがそんな竜也の冷たい返しを無視し二人は作戦会議を始める

竜也にわざと聞こえるように

「しかしわしらがここに住むのは決まっている事だしの。近隣の皆様に挨拶もせねば。陽菜も許嫁として早く顔を覚えて貰わねばの。」

「…えっ、ちょ、」

「それもそうですね。やはり竜也さんに相応しい女に見られるように第一印象は大事ですよねー。じゃあ早速お隣から行きましょうかー」

「…………………」

二人の会話を聞いて血の気が引ける竜也
竜也は二人が本当に挨拶に行った場合の事を想像していた

(2人の言うお隣さんは恐らくあのおばちゃんであり、そして二人がさっきと同じ挨拶をしに行った場合、噂好きのおばちゃんは間違いなく言いふらし、それは瞬く間にこの小さな町に広がって事実となってしまう!!)

即座にその考えに至った竜也は急いで扉を開けて2人を中に入れようとするがそこに2人の姿はない

慌てて外に出るとまさに少女がお隣さんのインターホンを押す手前だった

「悪かった、中に入れるからとりあえずそれだけはやめてくれー!!」