木曜日のオオカミ 



アンケートの集計を再開しても

彼はその笑みのまま

こっちを見てる




「なぁ、なんでそれ隠してるの?」



彼が私の首の絆創膏を指差して言う



「え、いや別に隠してるとかじゃないよ
ただちょっとケガしてるというか…」



 
「別に隠すことないじゃん、せっかく印つけたんだから」




「…?!!!!」





彼の言葉に

状況がイマイチ飲み込めない私





「あれ?覚えてない?
まぁ気持ち良さそうに寝てたもんね」



 
は!? 


何を言ってらっしゃるのですか?


会長さん?




私の反応を無視して

彼は続ける



「それ罰ね、俺の寝顔盗み見た罰」





「ちょ、ちょっと待ってどういうこと?」




まさかのまさかを

察した私




「ん、だからさ、

俺がここで寝てると、いつも誰かさんが来
て、ずーっとこっちを見てるんだよね。

でも、予鈴なる前にいなくなっちゃうから何も言えなかったんだよなぁ」




バ、バレてたんだ……(汗)




「でも、今日はさぁ、

起きてみたらその誰かさんがぐっすり眠っているわけじゃん。

これはチャンス!と思ってね」





「え、!? 

だからって、なんで!?」




 
「だーかーらー、さっき言ったじゃん!

印だよ、俺のっていうシ・ル・シ!」



「…はぁ!? なにが‘俺の’よ!?

意味わかんないだけど!」




「じゃあ、

村井菜穂は大橋賢人のストーカーです、
ひとの寝顔見て楽しんでる変態ですって
噂流してもいいんだ?」





「そんなデマ誰も信じるわけないじゃ ん!」



「そーかなぁ、俺の言ったことならみんな結構信じると思うけどなぁ

っていうか、デマじゃなくて事実だし」




うぅ…… 否定できない…




「で、どうする?

そのマークがきえるまで俺のものになるか、拒否って噂を流されるか」



 
「………。」




なんじゃ、その二択は…




「拒否しないってことは、俺のものってことでいいのかな?」




言葉と同時に

彼の手が私の頬にのびる


(キスされる!?)