駅に着いてメールに気づいた。
親から電話があって、自分の部屋に泊まることにしておいたという夏芽からの連絡だった。

「真面目な真由が帰って来ないから、真由ママとっても心配してたよ。何処に泊まったの?」

電話をかけると興味深そうに聞き返された。

「う、うん、実は…」

かいつまんで昨夜の経緯を説明する。夏芽は驚きながらもクスクス笑っていた。

「その坂本さんて人、案外真由を守ってくれたのかもね。その団長さんから」

キャーキャー囃し立てる。
そんな事よりも私は、自分の大それた行動の方を反省していた。

酔っていたとは言え、男性が二人もいる部屋に上がり込んでお酒を飲んだ…。
しかもその男性達は私よりもキャリアがずっと上の楽団の中心的存在なのに、堂々と意見までしてしまった…。

(ど…どうしよう…)

次からどんな顔して楽団に行けばいいんだろう…。
自己嫌悪に揺れながら、初めて朝帰りしたーーー。