朔の家を出て、四人それぞれ来た道を戻った。
別れ際、

「また会おーぜ!」

ハルの言葉に全員で頷いた。

「皆、元気でいてよ!」

夏芽の言葉に、それぞれが返事した。

「皆、頑張ろ!朔の分も!」

シンヤの言葉にそうだね…って了解して、

「皆のこと、ずっと好きだよ!」

私の言葉に、三人が一斉に答えてくれた。

「私も好きよ!」
「オレも!」
「僕だって!」

歩いて行く道は違うけど、思いはいつも一緒の仲間。
私が音から離れていても、きっと理解してくれてるはず…。


「バイバイ!」

手を振りながら背を向ける。
手の中に残った一通の手紙と宝石のようなマウスピースと本。
大事そうに抱え込んで歩いた。


帰る道すがら、卒業した中学校へ寄った。
門の閉まった校内は、し…んと静まり返っていたけど、私の胸の中には、朔が吹くトランペットの音色が響き渡っていた…。

校門の花壇に座り込んで、自分宛に書いた手紙を読んだ。
五年前の文字は今よりもすごく汚くて、平仮名ばかりで、少し…笑えた。