「…お前ら付き合ってんだろ?」

病室で話し始めて三十分かそこらしか経ってなかったと思う。
急にハルが言い出した。

「ここに来てから、なんか妙に仲良いなって思ってたんだよ。隠しても分かるからな!」

一番の心配性で気遣い人。ハルには敵わない。

「参った!アタリ!」

照れながら朔が降参。おかげでこっちまで赤くなる。

「真由、やるぅ!」

夏芽がつつく。

「いつかそうなるだろうって予想してた通りだな」

このヤロ!とシンヤが朔を押した。


私達は仲間の輪を崩したくなくて、付き合い始めたことも話さずにいたけど、それはいらない心配だったみたい。

「仲良くしろよ」

そう言って祝福してくれた。
照れながらも走り出した二人。
なのに、朔と私の交際は、わずか二ヶ月で幕を閉じた……。



…あのファーストキスを交わした日、白い病室を出る私に朔が言った。

「真由、また会おーな!」

優しい顔で、穏やかな口調で、でも、目はどこか寂し気だった。

「うんっ!土曜日、朝イチで来るから待っててね!」

わざと明るく元気よく振る舞った。

ドアの内側で手を振る朔の顔が、

いつまでも、いつまでも、

頭から離れなかった………。