数分後。 『先輩、遅くなってごめんなさい!!』 玄関の前には自転車に乗って待っている先輩に私はひたすら謝った。 「兎に角、後ろに乗れ。このままじゃ遅刻だぞ」 『は、はぃ!!』 またがるように座り先輩の腰に手を回した。(いや、先輩にさせられた。) 「しっかり掴まってろよ!!」 先輩はグッと力を込めてペダルを踏んだ。 だんだんとスピードがアップして風を切る度に髪がワサワサとなびく。 後ろから見た表情は真っ直ぐな瞳をしていて、何故か横顔だけで胸がドキドキ鳴った。