「ううっ、寒い……!」
いつものように2人で帰っていると、ビュウッと強い風が吹く。
今日は一段と寒い日だ。
「くそ、寒すぎんだろこれ。早く帰るぞ、走ればあったかくなる」
「うわっ!」
ちょ、待ってください!
あたしの手を引いていきなり走り出した壱哉。
走ればあったかい、って……。
「壱哉走るの速い!」
中学の時、陸上部だった壱哉。
しかもエース。
あたしは運動しない天文部だった。
だから、こんなに速く走るのはあたしにはキツすぎる。
「ちょっと待って、速……わっ!」
あまりの速さについていけず、足がもつれてしまう。