「何やってんだよ……ん」 「ん?」 目の前に差し出されたのは壱哉のマフラー。 「使えば?」 「えっ、いいよ!壱哉が寒いじゃん!」 寒がりのくせにそんな気遣い……。 「っ、いいから早く」 手をクイッと引っ張られて壱哉の方に傾くと、その隙にマフラーを巻かれる。 「寒いくせに無理すんな」 ……そんなの。 壱哉だって一緒じゃん。 今だって鼻すすってるし。 無理してるのは壱哉じゃんか。 「ありがと、壱哉。優しいね」 あたしは巻かれたマフラーに顔をうずめながら壱哉を見た。