「樹里が忘れなかったら……樹里は創さんを婚約者に選んでた」
あたしが忘れなかったら、創くんを選んでた?
「樹里は創さんのことが好きだったんだ」
……え?
さっきみたいに、頭が真っ白になった。
「創さんのことを忘れたから、お見合いで確定したから俺を好きになったんだ。あのままだったらきっと、創さんだった」
大樹くんの悲しそうな、今にも泣きそうな顔を見つめる。
「なんで……」
「……元は、創さんが有力候補だった。だけど、あることが起こって、急に俺と逆転したんだ」
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