「そっか、樹里はそうだったよな」
……えっ。
何かを思い出すように、でも少し悲しそうな目で、そう言った大樹くんをあたしは見つめた。
どうしてそんな目をするの?
教えて欲しい、その理由を。
「……大樹くん?」
あたしが呼ぶと、大樹くんはまた、目を逸らした。
その目も、悲しそうに見えて、胸がドクン、と鳴った。
「教えるよ、樹里がそれを望むのなら」
そう言いながら、あたしの頭を撫でる。
「……もう一人の樹里の婚約者、だよ」
その言葉を聞いた瞬間、あたしの頭の中は真っ白になった。
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