そして、抱きしめたまま、顔だけを沙綾ちゃんに向けた。





「沙綾、何があった?」





「あ、ごめんなさい……あたしのせい、」





つぶやくように言った沙綾ちゃんの声に、あたしは言い返した。






「沙綾ちゃんの、せいじゃないよ……」




沙綾ちゃんのせいじゃない。




だって、あたしが庇いたくて庇ったんだもん。





それに、何のことなのか分からない記憶を思い出したのはあたしのせいだ。




それにしても……あの男の人は誰?





その、創くん、のお父さん?




見たことがある人だった。




そりゃ、見たことあるよね。






あれが本当の記憶ならば。