「手伝わなくていいの?俺やるけど」
「いーのいーの!2人で話して仲良くなってて」
あたしは沙綾ちゃんの背中を押しながらキッチンに入る。
今日はパスタにするんだっけ。
「あの、樹里さん」
あたしが準備をしようとすると、そう声がかかる。
「ん?どうしたの?」
そう聞くと、沙綾ちゃんはうつむきながらこう言った。
「あたし……料理できないんです」
「え?」
料理、できない?
「作ったことなくて……今まで」
そっか、そうだよね。
「大丈夫だよ、これから覚えればいいよ。あ、でも、遥のために作れるようにならなきゃね」

