「そうなんだ、じゃあ、もうちょっとで来るかもね?」 「だといいけど……」 「電話とか出ないの?」 紗羅ちゃんが1人でいるのは危険だ。 「電話?多分出てくれると思うけど……」 「じゃ、電話してみなよ。さっきナンパされたって」 「えぇー、ナンパ?そんなんじゃないよ、いつものだよ、きっと」 え、いつもの? いつもの、とはスカウトのことだ。 紗羅ちゃんの家は、代々お金持ちの家系で、しかもちょっと特殊で、周りの危険な大人に狙われやすいのだ。 紗羅ちゃん家は昔からある、全国的に名の知れた会社。