「今度はあたしが……」




大樹くんを助ける。




……なーんて、そんなことを思っても、助けてもらってばかりだけど。





少しずつ、その恩を返していけたら、いいな。




「その次に続く言葉は何?」





耳元で聞こえる甘い声に、つい言ってしまいそう。





「えっ!?いや、ナイショです……」





助ける、なんて偉そうなこと言えない。





「ま、いいや。寝よう、樹里」





「うん、また朝にね」





笑顔で顔を合わせようね。






「だな……おやすみ」





「おやすみなさい」







大樹くんが言った“おやすみ”は、とても優しく温かく感じた。