「樹里さん、父さんに手紙って……」 動揺したように聞く創くん。 「はい、創くんと少し目元が似た方で……あ、こんなこと言ってごめんなさいっ」 「いや……いいんだ。ありがとう、樹里さん」 今度は創くんにお礼を言われてしまった。 「その手紙を渡した人物は多分、僕の母親だ」 創くんの、お母さん? 「訳あって今離れて暮らしていたんだ。訳というのは、この婚約のことでね」 父が認めないものだから。 そう創くんは言った。