「あの、あたしは……市原さんが苦手でした!」 「え、」 「じゅ、樹里?」 周りから驚きの声が聞こえる。 「で、でも、それは小さな頃の話です。今はもう苦手じゃないです」 手紙をくしゃくしゃにならない程度に軽く握りしめる。 「市原さんの本当の優しさを感じてしまったから、です」 本当はさっきまで少し苦手意識があった。 でも。 話を聞いてるうちに……市原さんの顔を見る度に。 市原さんは本当はとても良い人なのではないかと感じた。