創くんも、呪縛に囚われていた。
「私が認めないと言ったら……どうするんだ」
市原さんの低い声が聞こえた。
「それなら、僕は社長から降ります……覚悟はできてます」
「なっ……」
それはダメだ。
創くんは、これからに必要な人材。
「わ、分かった。認める……美和さん、創をよろしく頼む」
祈るように前で手を組んでいたあたしは、その言葉を聞いて、安堵のため息をついた。
「藤堂くんも、今まで邪魔をして本当にすまなかった。樹里さんと幸せになってくれ」
市原さんのその言葉に、大樹くんは短く返事をした。
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