……え!? 大樹くんが協力した!? は、初耳だよ……ていうかいつから? 中に入りたいのに、入れない雰囲気になってしまった。 「父さんは知らないかもしれない。その時いなかったから」 扉に耳をくっつけて、どんな小さな言葉も聞き漏らさないようにする。 側(はた)から見たら変な人だ。 「最初は、樹里さんの婚約者候補が、大樹くんと僕だった」 「そんなことは知っている!美和さんはいつから……」 「父さんがいなくなった時だ。大樹くんに勝ち目がなくなった僕は、樹里さんを諦めて新しい婚約者を探した」