「俺は彼女のことが……樹里のことが好きです」
はっきりと言葉が聞こえてきた。
「っ、」
泣きそうになった。
そうだ、そうだよ……思い出した。
またさっきも大樹くんが言ってたことを。
最初にこの部屋に向かう時も。
あたしを追いかけてきた時も。
絶対に約束って。
……“俺を信じるな”って。
そう言ってたのに。
あたしは、婚約破棄という言葉を間に受けて大樹くんの言った言葉を忘れてた。
「そうか、大樹くんは樹里さんが好きなんだね」
ドアを開けようとした瞬間、その言葉が聞こえてきた。
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