「え……」
前髪を上げて、軽くおでこにキスをされた。
「ここで10分くらい休んでから戻ってくるといいよ」
「……うん、分かった」
あたしがそう答えると、微笑んで、またあたしの頭を撫でてから大樹くんはさっきの部屋に戻っていった。
大樹くんの後ろ姿を見つめる。
良い姿勢で迷いなんてない、大樹くんの歩く姿。
それに大樹くんの手、今度は温かかった。
自分の頭に触れる。
大樹くんの触れたところは、まだ温もりがあった。
「止まってちゃダメだ」
そうつぶやき、涙を拭ってあたしも大樹くんと同じ通路を歩いた。
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