市原創さんだ。 「お久しぶりです、約11年ぶりですかね」 大樹くんがあたしを少し庇うようにして立つ。 「そうだね、来てくれて良かったよ」 創さんが笑ってそう言う。 あたしはホッと、安堵する。 そんなあたしを見て、大樹くんがあたしの肩を抱き寄せるようにして横に立たせる。 「お、お久しぶりです、創さん」 挨拶をしなきゃ、と思い、ぎこちなくなりながらも言葉を紡ぐ。 「久しぶりだね、前みたいに“くん”付けで呼んでもいいのに」 そう言われ、あたしは創さん……創くんを見つめる。