「大樹くんは、えっと、その……」
なんか改めて言うの恥ずかしい。
「藤堂大樹。樹里の婚約者です」
後になるにつれて、声は小さくなった。
それもそうだ。
周りには人がたくさんいるし。
バレちゃいけないからね。
「樹里姉……やるな」
「な、何が?」
「こんなすごいイケメン捕まえて婚約者なんて……何したんだよ?」
なっ、なんかその言い方あたしが何かしたみたいじゃん!
「違うよ、お見合い!許婚なの!」
大きな声で言いそうになったけど、慌てて声を抑えた。
自分からバラしてどうすんの。
「お見合い?まさか、候補者の1人?」

