「花火か。早いな、もうそんな時間になってる」





大樹くんが腕時計を見てそう言う。





楽しい時間は……あっという間に過ぎちゃうんだなぁ。





そう思うと、少しだけ……悲くなってしまう。






「樹里、あのさ」





「うん?」






名前を呼ばれてあたしは大樹くんの方を向いた。







チュッ……。





「っっ!?」





だだだだっ、大樹くん!?





いきなり何を!!







「ふ……ビックリした?」






あたしは、コクコクと頷く。






「そっか、なら良かった。夏祭りにこういうのって、したことなかったからさ」