見覚えのある車が目の前に止まった。 雨のせいで運転席の中までは見えなかったが、あなただと、すぐに分かった。 車に向かって走りながら、ロミオとジュリエットが頭に浮かんだ。 そんな綺麗な関係ではないのに。 美しい話しではないのに。 自分はジュリエットみたいだと、それほどまでに浮かれている自分に腹が立った。 騙し、裏切り、先の見えない関係だというのに。 ジュリエットでもなければ、ロミオでもないのに。