「今、唐沢先輩授業行ってますけど先輩は授業とってないんですね。」
ワタが急に言い出して、その先輩はピクって反応する。
「・・・や、今やってる授業は単位を稼ぐための授業で必修じゃないから。」
ぺらぺらと言い訳を話す先輩に一瞬怖さを覚えた。
あたしはケータイに先輩の連絡先が来てしまったのを少し後悔した。
「と・・・むら・・・」
「うん。戸村誠一っていうから。あとで連絡するね!」
すると、戸村先輩は友達のところへと戻って行ってしまった。
ワタは、戸村先輩を警戒してるみたいだ。
「ワタ・・・」
「友達っていうなら、授業かぶってないと話す機会ないだろ?
おかしいと思うんだよな・・・」
頭の回転が速いワタを今このときすごく尊敬したのは言うまでもない。
「そっか・・・どうしてそんなことまで気がまわらなかったんだろう。」
「しょうがねぇよ。それに、連絡先交換したぐらい平気だよ。」
