「ごめん…クリスマスは用事が…」

「ええっ マジかぁ~…イブも?」

「イブも…いやむしろイブが……」

「別に、夜でもいいよ?俺ほのかん家迎え行くし」

「ご…ごめん……。特に夜がダメなの…」

「そっ…か……じゃあ……放課…」

放課後…と続くであろう言葉を、
涙が遮った。
私の涙だ。

ぐすっ… ぐすっ……

「後……?…!?
どうしたほのか!?」

「ごめ……ごめんね急に…っ…
わた…私も…っ、クリスマス、一緒に、一緒に過ごしたかったんだげどぉ…っ」

こうなるともう嗚咽がとまらない。

12月23日、放課後。
高校の廊下でむせびなく彼女を前に、
彼…透君はおろおろするしかなかった。

そりゃそうだ。
クリスマスデートに彼女を誘ったら
泣かれるなんて展開そうそうないだろう。
もうなんというか本当に申し訳ない。

「わ…わかった!じゃ26日!1日遅れだけどクリスマスやろう!な!」
「ぞれもうぐりずまずじゃないじゃんんん…っ」

折角打開策を出してくれたというのにこの仕打ち。
ああもうくたばりたい。クリスマスを前にくたばりたい。

しかも放課後だというのに私の嗚咽が響くせいでギャラリーが集まってきた。
いやだぁぁしにたいしにたいしにたいしにたい

涙で視界ゼロの中、私の手に温もりが触れた。

かと思ったら、温もりはガッと勢いよく私の手を引き寄せると、そのままずんずん歩き始めた!

「と…っとおるく…」

「ごめんなんか、まわりがうるさく…。
帰りながら話そ」
うう…まわりをうるさくしたのは間違いなく私なのに、こちらこそごめんなさいなのに。

私の手を引く彼の手は、力強いのに優しかった。