クリスマスの奇跡?【短編】

「そ、奏介くん!ここ、人が通るから!」


抱きしめられるのはすごく、すっっごーーーく嬉しいんだけど!
なんせ、街なか!
人通りあるから!
恥ずかしいよぉ!


「周り見てみなよ。みんな自分たちの世界。」


奏介くんにくるりと反対に向きを変えられ、イルミネーションの周りにいる人たちを眺めると、カップルはお互いしか見てない。

そりゃそうか。イブだよ。
特別な日だもんね。


また奏介くんにくるりと体の向きを変えられ、抱きしめられる。


奏介くんは私の頭に顔を乗せた。


「ね?だから平気だよ。」


「うん…。し、仕方ないなぁ。」


あぁ、もう。
私どうしても恥ずかしくて余計な一言を付け加えてしまう。


「ゆうちゃん」


頭の上から聞こえる奏介くんの声。


「なに?」


抱きしめられながらだから、くぐもる私の声。


「ゆうちゃん」


また呼ばれる。


「…なぁに?」


私は奏介くんの顔を見ようと、顔を上げた。



その時。



チュッ…



唇にかすった



奏介くんの唇。