ガチャ



「はい。浅井ですけど。ーはい えっー」



ガチャン

受話器を落とした音が家中に響く。



「お母さんっどおしたの」

勇馬が心配そうな声を出しながら
こちらを覗いた。





「う…………ん………………」





秋良の涙が頬を伝うー。



「お母さん 大丈夫?」


勇馬が秋良のもとへ歩み寄って来た。


秋良の魂の抜けたような顔。

今にも消えてしまいそうな声を使って秋良の口から出てきたのは、信じられない事だった。





「交通事故……だって…………お父……さん…………
死んだんだってさ…………………………」



「え?」
勇馬のキョトンとした顔。



「シヌ?シヌってなにお母さん………………
ねえお母さん?シヌって…………」

「うるさいっ」


ビクッ




勇馬が一歩後ずさる。



今まで、どんなときでも勇馬に涙を見せなかった秋良。

そんな秋良が今、勇馬の前で小刻みに震えながら涙を流している。











しんしんと雪が降るー