となり。

そんな約束をしてしまい私は先輩に話しかけることを目標に学校に行くことに決めた。真姫と約束したつぎの日の部活。

私は先輩に話しかけるための話題を探していた。

『先輩よくそんな腕動きますねー疲れませんかー？』

心の中でなんどもシミュレーションする。

ぐっと拳を握り佐々木先輩に声をかける。

「さ、佐々木先輩！」

「ん？なん？」

「こ、ここの運指教えてくれますか？」

声が裏返らないように気をつけて話しかける。

「あーえっとねー…たぶん１と２やね」

「ありがとうございます！！」

「あいよー」

だるそうだけどはっきりした特長のある声。聞いてると不思議と落ち着く声。ずっと聞いていたいと思った。

『佐々木先輩の声好きだなぁ…』

心中でそう思っていると口が勝手に

「先輩よくそんなに腕動きますね？疲れないんですか？」

「あぁ、疲れない疲れない。あんま力入れてないしねー」

平然とした返事。

「私なら疲れちゃいますよ」

なるべく笑顔で返そうと努力してすこしだけ微笑むことができた。

「…なんか竹中さんの笑顔初めて見た気がする」

「えっ？！そ、そうですか？！」

「あ、ぁあ！別に普段が笑ってないとか、そういうことじゃないから！気にしないで！」

「ど。どういうことでしょう…？」

「んー…俺に向けた笑顔が初めてってことかな？」

なんでそんなこというんだろう…？不思議で頭がいっぱいになった。

「そうですかね…？」

「うん…き、気にしないで！ほんと！あ、俺そろそろ帰るから！おつかれ！！」

「あ。はい…お疲れ様でしたー？」

そのあと先輩は急ぎ足で帰っていった。
私は不思議ではてなマークが沢山浮かんだ頭を動かした。