──おじいちゃんを“ああやって”呼ぶのは、たった1人だけ──。



すうっ、と深く呼吸する。


私はどうにか焦る気持ちを抑え、ゆっくりと、まるで引き寄せられるようにその声に近付いていった。



「──っ」



心臓がドクンと大きく跳ねる。


一瞬にして、全神経は一点に向かった。



「太一、兄ちゃん……」



──あぁ……それは紛れもなく、決して忘れることのできない、私のヒーローでした。