「いいい、嫌だなんてそんなことないよ!」


「じゃあ」



“嫌じゃない”それは勿論本心で、というか寧ろ嬉しいんだけど……。



「でも、駄目なの! だ、だって、他の人に私達が一緒に住んでるとか知られたら、何て言うか、い……色々と厄介でしょ?」


「厄介……」



犀川くんはそう復唱すると、急に真面目な顔をして固まった。


はぁ、やっとわかってくれたのね。


そう思いながら私が安堵の溜め息をついたのも束の間だった。


うーんと唸るように声を洩らしたと思ったすぐその後、首を斜めに捻りながら笑顔でこう言った。



「何が?」


「へ……」



ああ、そうだった、彼は極まりない天然男なんだった。