「妹だってハッキリ言われちゃったもん」



“白雪は俺の大事な妹だからな”



実はさっきの記憶にはもう少しだけ続きがあって、あの後、もう1度お礼を言うとニカリそう言われたのだ。


その時私は、例え彼をどんなに好きになって想ったとしても、彼にとって自分はただの“妹”にすぎないのだと悟ったんだ。


つまり私は、恋愛対象として見られてないってこと。


だから、太一兄ちゃんが私の王子様になるわけないんだよ。



「ふーん」


「な、何よ」


「別にー。ただ、あれから連絡とかしてないのかなって思っただけ」


「う……して、ない」



不意に飛んできた核心をつくような質問が、刃のように胸へと突き刺さる。


“あれから”そう由利が言うのは、丁度3年前くらいのことだった。


3年前──私が中学にあがる時、太一兄ちゃんは親戚の伯父さんが住む北海道へ行ってしまった。


突然ってこともあったし、別れるのが寂しくて、辛くて、意地っ張りな私はそれを認めたくなくて空港での見送りに行かずに部屋でただ1人泣いていた。


それから連絡しづらくなっちゃって、ただただ月日が流れて現在に至る、というわけだ。


太一兄ちゃん……今頃何してるんだろう。


懐かしさと寂しさが一気に込み上げてきた。



──あの頃私は……。