──……



パジャマ姿の私はベッドの上に座り込むと、ゆっくりと辺りを見回した。


ここは昔、私が小さい頃泊まりに来ていた時に使っていた部屋。


懐かしい雰囲気に、なんとなく心が落ち着く。


おじいちゃんは私が家に来ると聞いて、わざわざまたこの部屋を空けてくれたんだ。


それにしても。



「……はぁ。今日はやけに疲れたわね」



その原因は勿論、あの謎すぎる“犀川龍介”とかいう男。


一瞬“かっこいい”だなんて思っちゃったけど……へらへらしてて何考えてるか全然わかんないし、いきなり呼び捨てだし、距離近いし!


それに、ご飯食べてる時だってじーっとこっち見てにこにこして……。


もしかしたら何か裏があるのかも……? なんて。


あーもう! これから私、ちゃんとやっていけるのかな。


おじいちゃんがいるとはいえ、同い年の男の子と一緒に暮らすなんて……。


これは、現実なのよね?


未知なるこれからの生活を想像すれば想像するほど、不安が押し寄せてくる。



「……早く寝よ」



うだうだ考えるのはもう止めだ。


私は気持ちを切り替えふうっと息をつくと、電気を消し、明日の入学式に期待を寄せて、布団の中でゆっくり目を閉じた。