今日は稽古の日ということで、彼は空手着に身を包んでいる。


それにしても、やけに緊張する。顔を見ただけでこんなにドキドキしたのは、初めてだ。


どうして……いや、こうなる理由は明確。


だって、“昨日の今日”なんだもん。


迷子の私を捜し出してくれて、不安な心を優しく解きほぐしてくれて……。


あの時の犀川くん、まるでおとぎ話に出てくる王子様みた──。


や、やだ私、何を……!


脳裏を駆け巡ったダイジェスト映像に、羞恥のあまり頭を抱える。


あーもう、恥ずかしい。すぐに変な妄想しちゃうんだから。


……これじゃあ、本当に犀川くんのこと好きみたいじゃない。



「白雪、大丈夫?」


「へ?」



振り返った次の瞬間。