『で、もう1人はあいつの幼馴染なんだけど……。その人ずっと彼女いないらしくて、私にいい子紹介してやってほしいって頼んできたって訳。それで、白雪はどうかなーって』


『え、でも』



初めて会う人って、どうも緊張するし。


何より私を紹介するって、相手にすっごく申し訳無い気持ちになるんだよね。



『あんたの言う“運命の王子様”と出逢えるチャンスかもしれないわよ?』


『王子様……』


『そう。実はその人、かっこよくて優しくて頭も良くてスポーツ万能らしいの』


『えー! なーんかそれ、犀か──』



はっ!



“犀川くんみたい”



思わず滑り出してしまいそうだった自らの言葉に、ドキリとする。


なっ、何考えてるの私。


太一兄ちゃんならともかく……どうして犀川くんの名前が出てくるのよ!