風間君と付き合って一年過ぎ。



 出会いは風間君の大学での学校祭だった。私は小さな高校出身で、学校祭らしい学校祭ではなかったから、その大きさに驚いた。
 もちろん、私の通う大学の学校祭もあったけれど。


 志織の彼氏がこの大学にいるというので、何だか一緒にいくのがちょっと気が引けていた。どうせなら一人でいけばいいのに、と。二人がいちゃついたら私はどうすればいいのだろうと思うと、どんよりした気持ちになっていた。

 実際、あちこち見たあと、志織の彼氏と会った。

 その時、志織と彼氏さんが用事があるということで、私は待つことにした。大学内の、ちょっとした広い場所だった。近くには模擬店の姿もある。


 椅子に腰掛け、ぼんやりと待っていたときだった。
 模擬店の店員らしい、エプロンをした風間君と会ったのは。


 飲み物と、クレープっぽいものを持ってあたりを見渡している姿は、誰かのためにという様子だった。落ち着いた雰囲気は、大人っぽくて、そんな人がまっピンクのエプロンをしてうろついているのが何だかおかしかった。

 ――――あの、すみません。

 うろついたあと、私は風間君に声をかけられた。それは人を知らないかというもので、私は首をふる。志織らを待つ間は携帯やぼんなりと人の流れを見ていただけで、風間君がいう人の記憶には残っていなかった。
 聞けば頼まれて買ったそうだが、その人は見当たらなくなったという。風間君は『ま、あいつらしい』と笑っていた。


 
『よかったら、食べませんか?』
『え?でも』
『いいんですよ。どうせ見つからないし……それに、結構待ってるみたいだから』



 どうやら店から見えたらしい。中々来ないみたいですから、と。丁寧な言い方に、私はつい友人と来たことなんかを話した。友人の彼氏がここの大学にいることとか、そういうのを。
 まっピンクのエプロンをした風間君は『それはちょっと、確かに居づらいかも』と頷いてくれた。