「………と…、これでいいわけ?」


「あ、うん…ありがとう…」



俺はコピーし終わった楽譜を歌音に渡した。

恥ずかしそうに真っ赤な顔でそれを受け取る歌音。




「てか、おまえ運動オンチや方向オンチならまだしも機会もオンチなのかよ…。コピーも出来ねぇなんて呆れを通り越して笑えてくるぜ」


「う〜…そ、そんなこと言わないでよ!こっちはこっちで一生懸命やってんだから!!」



プンスカプンプンと腹をたて、俺の服を揺さぶる。

全然揺れてないんですけど。














「じゃ、かつ君ありがとね」


「おう」


「また明日ね」



コピーした楽譜を宝物のように強く抱きしめ、小さく俺に手を振った。

ああ…そんなに強く握ってたらせっかくの楽譜がくしゃくしゃに…

でもおもしろいから言わない。



「おう、また明日な!」



俺は大きく手を振って、歌音を見送った。


だんだん小さくなる背中に何故か俺は何か胸の奥で引っ掛かるのを感じた。


なんだ?何かスッキリしない…


もう既に見えなくなった歌音の背中を横目で見た。




………スッキリしない。




なんだこのモヤモヤは…。





















モヤモヤの正体が解らず、その後俺は1時間弱程校門で唸っていた。